財政のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新...

- 岩波書店 価格 ¥ 819
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財政のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)


岩波書店

価格(new/used): 819 円 / -- 円 より
発売日: (2007-06) アマゾン売上ランキング: 3236 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 6件

むしろ大人向けの本〜財政は世の中の仕組みのかなりの部分を占めている
岩波ジュニア新書であるからには、中高生向けに書かれた本なのだろうが、むしろ大人が読むべき本だと思った。
本書で述べられていることは財政学の基本のキなのだろう。にもかかわらず、今までの認識をひっくり返されるようなことがいくつもあった。
ひとつは予算の成立過程について。欧米では予算の審議に半年間かけるのに対して、日本では予算委員会の審議時間はわずか2週間! しかも予算委員会はテレビ中継されるため、野党のアピールタイムとして使われていて、政治家の不祥事などがおもに質疑され、実質的な審議はほとんどない。80兆円の予算を審議しているのに、である。
しかしこれはシステムの問題でもあるだろう。政治家が官僚におんぶにだっこになっていて、実質的に予算を決めているから、官僚がやりやすいような制度になっている。ただ、政治家に「もっとがんばれ」と言っても始まらない。憲法第15条には「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」とされているのだが、これが空文化しているのがそもそもの原因だろう。アメリカのように政治任用を増やさなくてはならないのではないか。
もうひとつは税制について。日本はアメリカ型かスウェーデン型かといったら、アメリカ型(貧乏人の負担は少なくしてあげるから、独力で生きていけ、というタイプ)になる。アメリカ型であれば、税の累進率(金持ちであるほど負担を高くする率)は高くするべきと著者は言う。さて今、例えば総裁候補の与謝野さんは消費税を上げるべきと言っているが、消費税は累進率が低いので本当は所得税などを上げるべきなのである。つまり政策で言うと民主党のほうが財政学の基本に忠実ということになる。与謝野さんというと、仕事ができてマジメという印象、一方、民主党はヤマっ気があり派手好き、というイメージだろう。
政策の中身とイメージは必ずしも一致しないという一例だろう。政治リテラシーを身に着けるために必読の本である。
騙されないための財政論/国の借金が増えると本当にマズイの?
 新聞やテレビ・ニュースは、明日にでも「全国の地方自治体の○割が、財政破綻・倒産する」かのような報道をし、あたかも「政治家と官僚のせいで、国の借金である国債が○兆円になった」かのような解説をする。
 民主国家の主権者として、税の集め方と使い方を考え、見守り正すことは大本の大切なことです。本書は、その税の成り立ちと考え方を基本から学べる一冊になっています。
 本書は、王様の国の「家計」から民主国家の「財政」に変わる歴史的意味から説き起こされ、「財政」という国民からの公のお金のあり方の性格が解き明かされます。
 財政のあり方として、アメリカ型の国の姿、北欧スウェーデン型の姿、そして日本の姿が解説されます。一概に優劣を決め付けることは出来ない国とその財政のあり方ですが、国民が納得し選択するための「ほどよい政府」のありかたとその財政論が必要になります。
 税を考えることを避けて私たちが暮らす社会と国家と地方自治を考えることは出来ません。
 本書は、ややもすれば専門家と称する人々によって煙に巻かれてしまう「税」と「国債」そして財政を考える上で貴重で手ごろな一冊です。
国民、住民、必読の書
素晴らしいおもしろさでした。
あの神野先生が「ジュニア文庫」として書かれたものですが、
博学ぶりが発揮され、読み物としても非常に面白い内容になっています。

思うに、
中学生で1回、
高校生で1回、
大学生で1回、
20代で1回、
30代で1回と
繰り返し読むべき本です。
そのときそのときで、触発されるものが違うかと思います。
大阪府民の私は、橋下大阪府政の方向性が気になります。
橋下知事は財政学を分かっているのだろうか、と。
財政学。「民主主義」の延長で、一人一人が勉強して、考え、行動すべき
指針を与えてくれます。
むしろ財政についての理解が足りない大人が読むべき書籍
中学生・高校生を対象に、「財政(Public Finance)」を中心に、政府が行うべきこと、国と地方政府などについて、平易な言葉で記されている書籍。財政について噛み砕かれて記されており、むしろ財政についての理解が足りない大人が読むべき書籍だ。私には大いに役立った。
ただし、予算請求や陳情・請願の実務体験があった方が理解しやすい部分もあった。そもそも、中高生に「財政」を本当に理解させることは難しいだろう。概念的理解については十二分な内容であった。

以下、本書の構成・簡単な内容紹介を記す

1.財政って何だろう
  ・財政についての説明
  ・市場経済の成立が前提
  ・市場社会では@金儲けをして良い領域と、
   A金儲けをしてはいけない領域を分ける必要がある。
2.予算って何だろう
  ・特定の支出を特定の収入でまかなうこと(目的税)の禁止原則
  ・予算編成の仕組み
3.税はどんな仕組みになっているのだろう
  ・税金と課徴金の違い
  ・控除の意味(累進課税の技術的・方法的側面)
  ・税負担率から見る各国の社会の方向性
4.どんなところにお金を使っているのだろう
  ・財政の使途の内訳
  ・社会的間接資本(@交通A通信Bエネルギー、C人的資源)
5.借金は財政にどんな意味をもつか
  ・借金が許容される場合(建設債、不景気時等)
  ・内国債と外国債
6.国と自治体の関係
  ・機関委任事務
  ・地方分権
7.いま財政がかかえる問題
  ・社会的危機と財政
  ・格差社会 
8.財政の未来像を描く
「小さすぎる政府」への警鐘
本書は、ジュニア向けの財政の入門書。でも、単なる初心者向けの解説書ではない。

著者は、いわゆるリベラル派の学者。アメリカ追随型の「小さい政府」に強い疑問を持っておられる立場から、今の財政のありかたに強い問題提起を提唱されている。世界的にみても日本の財政制度は、特徴的なほどに「小さすぎる政府」であり、強いものをより強くするしくみ。ツケがとりわけ貧困、こども、女性、高齢者、非正規雇用組などに回ってきているらしい。

では、ヨーロッパ型福祉国家と比較して、日本では、何が「公共」から「民」に配分されているのか。
「公共」と「民間」でやるべき事業の判断について、「ニーズ(基本的必要)」と「ウォンツ(欲望)」という軸で考えると、市民の目が磨かれる。スウェーデンでは、中学生のうちからこうした意識を持つそうだ。

それからよくいわれる「財政赤字」についても、どこに問題点があるのか、なぜ赤字を減らせないのかがよく分かった。
著者の主張は、より地方に権限を委譲すること。全国画一的な公共サービスを提供するのではなく、地域の柔軟な判断を活かせないのか、ということだ。ただ、この点に関しては、地域格差問題などから、賛否両論がありそうにも感じた。

最後に、著者は財政とは、政治、経済、社会を含んだトータルシステムの要となるものであり、社会の転換期にある現在であるからこそ、未来への望ましい設計図を描く事がたいせつ、とのこと。
効率と公正、市場経済と民主主義のバランス配分をどう成り立たせるのか。公共分野を3つの分野、「生活の場」、「労働の場」、「政治参加の場」と分けて考えると、それぞれの分野で何を望んでいくべきか考えやすい。

本書を読むまで、財政なんて官僚様のお仕事、しょせん他人ごとだと思っていたが、未来の社会を予見するものとして、財政のなりゆきも「要ウォッチ」です!!!