冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

- 岩波書店 価格 ¥ 777
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冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)


岩波書店

価格(new/used): 777 円 / 200 円 より
発売日: (2006-05) アマゾン売上ランキング: 72128 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 10件

『冠婚葬祭入門さん江』だが、『サイトー流冠婚葬祭指南』にもなっている
 「慶事と弔事の二つの文化を中心に、第1章では近代日本百年を概観し、第2章では結婚の、第3章では葬送の現在を考えてみることにした。(中略)ある意味それは、抱腹絶倒の文化なのだ」(piv)、と「はじめに」にある。
 第1章は、すでに歴史研究や民俗学などが指摘していた事実を斎藤流に再編集し、それをベースに古い冠婚葬祭マニュアルを茶化していくスタイル。随所に鋭い指摘が散りばめられているのも確かだが、昭和初期の入門書から葬式関係の記述を引用した後、「それだけかい」(p31)。戦前の結婚心得書のセックス情報を引用して、「花嫁の母が読んだら青くなったことだろう」(p36)、といったツッコミが斎藤の真骨頂。61年発行の手引書の「初夜の心得」から一部引用した後、「下手なナンパ読本よりよほどよくできている気がするが、もったいないので中身は教えてあげない」(p57)とあったのには、本気でムッとしてしまったが…(笑)。
 で、2・3章はむしろ『サイトー流/今を生きるための新・冠婚葬祭入門』とでもいった風情。結婚については斎藤らしいフェミな観点が貫かれていて、それなりに笑えたが、葬送に関しては「各種入門書から、使えるアイディアと注意事項を拾ってみました」的で、「抱腹絶倒」の謳い文句がすすり泣くゼッ、て感じ。これってもしや、著者が結構マジになってたためじゃないかと、つい勘繰ってしまったほど(だって本書発行の06年には、著者のお父上は80歳を超えておられて、それなりに意識はしていたと思うから)。
 ところで、「神道で生まれて、キリスト教で結婚し、仏教で死ぬ」等のお約束の例を挙げて日本人の宗教的寛容を言い、「宗教上の対立やテロや戦争が発展する現在、この寛容さはむしろ誇っていい」(p151)と続くのを見つけ、読んだばかりの末木文美士『日本宗教史』中の「日本伝来の多神教は寛容であり、平和的であるという奇妙な宣伝」(p133)という言葉を思い出して苦笑してしまった。あと、p179の「遺体の扱いというものは、意外にナーヴァスな問題なのだ」は、「ナーヴァス」の使い方がヘンだと思うんですが…
けっこうタメになります
 斎藤美奈子の仕事って、けっこう力が入っていて楽しいって思う。膨大な資料から、意外な事実を暴き出す、というものなのだから。かつて、同じ岩波書店(今はなき、岩波アクティブ新書だ)から出した「戦火のレシピ」は、戦時下において何を食べていたか、だけではなく、実はお米は本当はぜいたく品ではなかったことや、さまざまな代用食を紹介している。そもそも斎藤のデビュー作「妊娠小説」もまた、ニュートラルな視点から、さまざまな小説を読み解くという力技だった。
 ということで、「冠婚葬祭のひみつ」である。学習まんがのタイトルを意識しているとのこと。斎藤はここでも、膨大な資料を読み、結婚式や葬式がかつではどのようなものであったか、それがどのように変化してきたのかを、明らかにしている。例えば、「家」という発想は明治時代からのものである、とか、ハウツー本は裕仁のロイヤルウェデキングからとか、そういったことである。本には「お床入り」のことまで書いてあり、親切この上ない。そして現在の冠婚葬祭をつくったのは、戦後のベストセラーになった、光文社のカッパブックスによる「冠婚葬祭入門」だとか。
 考えてみれば、結婚式場なんて昔はなく、家庭でやっていたものだった。まあ、住宅事情が事情だからできるというものだけれども、ぼくの母親もそうだったらしいし。実はたいして伝統のない、いまどきの冠婚葬祭なのである。
 斎藤が今回の本を通じて送るメッセージは、結婚についてはやはり、これまでのジェンダーバイアスがかかった式というものを否定し、個人が個人らしくあるような式というものを提案している。葬式についても同様で、自分が死んだらどんな葬式にしたいのか、それは生きているうちにやっておくべきだという。自分の葬式や肉親の葬式について、あらかじめ調べておくことは必要だし、表立ってやらなければいいということである。
 ともあれ、冠婚葬祭にはお酒はつきもの。その席で、本書に示された薀蓄を披露するというのは悪くない。だって、それは結婚式を挙げる人、あるいは故人のその人らしさを少しでも出していくきっかけになるのだから。
(マニュアル本a+マニュアル本b+・・・+マニュアル本x)=作法
結婚式はなんだかんだいって未だに女性の華だし、「人のふれ合い」が希薄になったといわれる現代でも、亡き者のために
葬式は粛々と営まれている。
「毒舌評論家」斉藤美奈子が今回ターゲットにしたのは、そんな現代の日本人にとっても一番デリケート部分、冠婚葬祭だ。

第1章では綿密な分析で冠婚葬祭の起源をたどり、第2章で結婚の現状を考え、第3章でこれからの葬送を模索している。
読み物として面白いのは断然1章である。
今まで親戚の葬式や法事とかがあれば、「めんどくせぇ〜な〜」と思いながらも、伝統行事なんだから仕方ないと嫌々参加
していた私であるが、斉藤の仕事はその伝統というものがいかに胡散臭いかを解き明かしてくれる。お焼香とかなんだと、
みなさん長〜い歴史ある作法だと思っておられるだろうが、あれはごく最近、古くても明治以降に定まったものなのだ。
そもそも仏教と葬儀のつながり自体を自明視していた私からすると、両者はビジネス的な側面でつながった関係であ
るというのは卓見だった。現行の葬式の「しきたり」なんて、業者が「手探り」で編み出したものなのだ。
ではなぜそんなものを、みなせっせと大枚をはたいて繰り返すのかというと、冠婚葬祭のマニュアルにそう書かれている
からである。
斉藤によるとマニュアル本は、何を元につくられるかというと既存のマニュアル本なのだそうだ。そのようにマニュア
ル本がマニュアルを脈々と受け継ぐことで、「伝統」の正当性が強化される。この転倒した営みが日本の冠婚葬祭には
あるのだ。

しかし、この調子で2、3章と行くのかというとそうでもない。
ここはこの本を岩波の新書として買ったか、斉藤美奈子の本として買ったかで評価は分かれるだろうが、従来の斉藤の本と比較
するとつまらなくなってくる。第2章は、戸籍(新しく男女が結婚すると「入籍」というが、本来は新しい戸籍をつくるの
だから間違っているらしい)や夫婦別姓の問題など面白くて読めるのだが、第3章はもう説教くさくなってきていて、読み
物としてはつまんない。

旧来のマニュアルを「うるせいジジイ」「おせっかいババア」と斉藤は揶揄しているが、最後のほうでは彼女もそれらとな
んら変わらなくなってきている。
裏表紙で確認すれば、もう彼女も半世紀を生きている。そういうおせっかいがいいたくなる年代に来てしまったというこ
となのだろうか。

タイトル通りの内容です
冠婚葬祭ものといえば、ハウツーものをはじめとしてマニュアル書が多いですが、この本はタイトル通り多くの文献などからルーツをさぐっています。内容的に興味深く、読み物としても面白いと思います。ただし、この著者にしてはおとなしいというか、小気味よい毒がないのが個人的には物足りないような気がしました。それにしても、他出版社の新書ならまだしも、岩波新書にしてはかなりくだけた書き方ですし、タイトルもビックリ。最近の傾向かしら・・・。
さすが冠婚葬祭の編集をしていたから博識と皮肉がたっぷり
 内容的には、とても昔の岩波新書とは思えない読み物であった。
でも、つまらない講釈なんかより、冠婚葬祭のバカバカしさをもっ
と打ったぎってほしかった。神前結婚が天皇家よりも、金儲けをね
らった商人により広まり、今やゲストハウスウェディングで映画の
シーンにまで進化していった。今度は、団塊が葬儀に向かう。きっ
と映画のシーンのように欧米化するのか。冠婚葬祭について、実に
すっきりした。ああ〜こんなもんなんだと肩の力を抜いてくれた。
是非、続・冠婚葬祭のひみつをカッパではない岩波親書から、もっ
と毒を効かせて出してほしい。
※つまらない博識披露が星ひとつ落とした。