ODA援助の現実 (岩波新書)

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ODA援助の現実 (岩波新書)


岩波書店

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結論が先にあるんですよね
ODAはだめだめ、という結論が先にあって、それに当てはめて事例を紹介しているんですよね、この方。ODAにはこういういいところと、こういう悪いところがあって、こういう悪いところを直すにはこうしたらどうだ、というのが学者としてのあり方だと思うんですけどねぇ。ま、もうだいぶ古い本ですし、援助機関への批判なんぞもいまではもう通用しないものもありますが、「こういう意見もある」という意味で、援助関係者や学ぶ人は読んでおいた方がいいと思います。でも鵜呑みにしないことをお忘れなく。
ODA=政府開発援助って何?
ODA=政府開発援助には大きく、人道的援助、経済的援助、政治的援助の三つがあり、私たちが普通イメージするのは、難民救済、食糧援助、緊急援助などの人道的なものですが、圧倒的に多いのが経済的援助だそうです。また、資金協力の仕方も二種類あって、無償(贈与)と有償があります。無償(贈与)というのは要するにタダであげるということで、これに国民の税金が使われます。と言っても現金で渡すのではなく、物品や役務の調達に変えられ、いわゆる<ひもつき>になって、ここに企業が登場してきます。では実際に、どの企業が、どこの途上国に、何を、どれだけ援助するのか、その決定がどんなふうに行われているのか、は大変わかりにくい仕組みになっています。

世界経済と言われても私などには余りピンときませんが、本書ではODAという切り口から、その世界経済の一端が見えてきます。開発に絡む環境破壊や先住民と移住の問題とも深く関わっているようです。産業工場建設の場合には公害問題が発生します。本書の結論めいたものを少し書いてしまいますと、どうもODAが途上国の本当に援助を必要としている人たちには届いていない、むしろマイナスに作用している、というのが実情のようです。ーー年間一兆円を超える私たちの税金がODAという形でどんなふうに使われているか、読者の関心によって様々な読み方ができるのではないかと思います。