ザ・フェデラリスト (岩波文庫)

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ザ・フェデラリスト (岩波文庫)


岩波書店

価格(new/used): 798 円 / 450 円 より
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 5件

権力の必要性VS権力の危険性
今日では当然のごとく日々のニュースで見聞する合衆国の政治制度も、よくよく考えてみればその形成時にあたる建国期のアメリカと世界においては決して当然のものではなかった。諸州を束ねる連邦制を確立するための憲法案には根強い反対が存在したのである。本書『ザ・フェデラリスト』は、A.ハミルトン、J.ジェイ、J.マディソンの三氏が、なぜ連邦制が必要なのかを解き明かしつつ連邦憲法案の批准を世論に訴えるために書かれた論文集である。

読んでいて驚嘆させられるのは本書全体を貫く強烈なリアリズムである。外交・国防・通商・国内政治といった各分野においていかに連邦政府という権力が必要なのかが説得的に論じられるとともに、そのような権力の暴走への警戒は怠らない。州単位の防衛の脆弱さと危険性が連邦による一元的な防衛態勢を要請する。だが、連邦という権力の暴走する可能性に対しては人民は州権をもって抑止する。もし州政治の側が腐敗し僭主政治にとって代わられる場合には人民は連邦を支持することで政治的危機を抑制する。連邦権力と州権のバランスオブパワーによって権力の暴走を阻止し、そこでキャスティングボードを握るのは人民の意志にあるのである。合衆国という政治制度が、国際政治面でのリアリズムのみならず国内政治面においても権力というものに対して恐ろしく研ぎ澄まされたリアリズムによって裏打ちされたものであったことが分かる。アメリカ建国を支えた民主主義・共和主義といった思想を考える上で非常に興味深い一冊だ。安全保障のためなら何をやっても構わないという風潮が米国のみならず世界中に広まりつつある今日、権力の必要性と危険性を巡る本書の極めてリアリスティックな論考は新鮮かつ示唆に富む。
理解が困難な本
この本は当時のアメリカの背景が理解できてないと読むのが難しと感じた。1787年に発刊との事なので,大統領制の前つまり大陸会議時代に発刊されている。「A.ハミルトンは初代(ジョージ・ワシントン)の時の財務長官で1804年に決闘で死去」「J.ジェイは初代(ジョージ・ワシントン)の時の最高裁長官」「J・マディスンは4代目大統領,3代トーマス・ジェファーソン大統領当時の国務長官」だそうだが,「憲法制定会議において作成されたアメリカ合衆国憲法案を批准しない邦である、ニューヨーク邦の市民へ向けて書かれた論文(Wikimedia)」となっているが、当時の「タマ二―派(現在はかなり政治色が強いらしいが)への啓蒙あるいは統一世論作成」の為に書かれたのではないかと感じた。またこの本だけでなく「アメリカ建国とイロコイ民主制」も読んだ方が良いと感じた。(私は政治論争より「民主主義とは」が知りたくてこの本を読んだため)
最高最重要の政治書、全文読むべき
合衆国憲法の産みの親であるマディソン、ハミルトン(ほとんどこの二人が書いた)による最高・最重要の文書がこのような良訳で全文読める(福村判のみ)ことの幸せよ。『英知の最高の神託である経験』に学び、直接民主主義を退け、代表制に共和制の神髄を見、専制を抑えつつも強力な中央政府の必要性を説く彼らのような学識深く真剣な政治家によって合衆国は建国された。
断じて単なる論文の寄せ集めではなくきちんと流れがあるし、通読が必要。抜粋で済ませようという岩波は見識が低い。原文は私には難しい。
連邦憲法の重要性
アメリカ独立後、連邦憲法案を受け入れない邦(主にNY)へ向けて書かれた論文。
ハミルトン・ジェイ・マディソンの3人がパブリウス(Pubrius)という共通の匿名の下で憲法解釈や連邦憲法の重要性、そして強力な連邦政府の必要性などを様々な新聞によって市民に訴えた。

難しい本です。アメリカの歴史のみならず、古代ギリシャ史なども知らないと読めないかもしれません。
しかし、建国期のアメリカが抱えてた問題や思想を知るにはいい論文だと思う。
ただやはり、意欲と関心のある方は直接英文に接した方がいいかも
1787年、アメリカ合衆国憲法成立を期すべく、3人の政治家が立ち上がった。古代ギリシャ・ローマの故事から近代ヨーロッパ政治史、さらに自らの潜り抜けた経験をも縦横に駆使しながら連邦政府樹立の必要性・必然性を論じ、そこで構築される統治システムの妙を解き明かそうとする。

人間の不完全性や、権力と自由との間に不可避な緊張関係を愚直なまでに省察しようとする本書は、単なる一過性の政治文書にとどまらない古典としての重みを持つ。マキャベリ『君主論』もそうだが、「政治論」とは即ち「人間論」であることを、まざまざと実感させられる。
憲法起草にも深く関係した同時代人の筆による合衆国憲法の解説書であり、さらに広く憲法・政治に関心のある方に参照されるべき一冊。
(もちろん現代人の目から見れば、あまりにも牧歌的もしくは予定調和的と思われるような内容も含んではいるが・・)

なお、本書は原著から訳者が内容的に重要と判断した論文を随時ピックアップして編みなおした抄訳である。その点はタイトルやカバーにも明示されて好かったのではないだろうか。