伝奇集 (岩波文庫)

鼓 直 - 岩波書店 価格 ¥ 630
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伝奇集 (岩波文庫)

鼓 直
岩波書店

価格(new/used): 630 円 / 228 円 より
発売日: (1993-11) アマゾン売上ランキング: 12758 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 12件

未来を予言した本
何度となく読み返した短編集。今までにこれだけ私に影響を
与えた小説はあったかろうか?

この小説は未来をも予見した1冊とも言えます。
「バベルの図書館」は現在Googleが行なっているミリオンズ
ブックサーチを想起させるし、「記憶の人、フネス」は
今流行の脳科学ブームの先鞭をつけた内容とも言えます。
また「バビロニアのくじ」は柄谷行人もそのアイデアを
評価しています。

短編小説としては難解な部類だと思います。
私も何度か再読して理解した短編もあります。
小説の内容を圧縮すると哲学に近づく。
そして文体は極めて詩的です。最高の小説です。
無限の迷宮
おそらくこの作家の短編集の中では一番、密度が濃い短編集だと思います。
一つ一つの短編が非常によくできていて何度も読むとさらに理解や発見が広がり一冊だけでとても長く楽しめます。
この作家の短編集は不死や連続といった無限性がテーマになっている作品が多いです。
ひとことであらわすと迷宮といわれる所以でしょう。
翻訳が……
原著が大傑作なのは本当。間違いなくノーベル賞クラス(とってないけど)。ただ日本語が……
誤訳も多いけど、直訳的で文章になってない部分が多すぎます。
ボルヘスは詩人だから、単語レベルでリズミカルな所があって訳すのが大変なのは分かるんですが。

『幻獣辞典』の柳瀬さん辺りが新訳してくれればいいのに。
小説のおもしろさ、読書の幸福
~エンターテインメント小説を読むなんて暇つぶしとしての意味しかない。何の腹の足しにもならない、人生の時間の浪費だ。
というような非常に荒んだ考え方にとりつかれてしまっていた私は、その頃数年、新書や選書、学術文庫などしか手に取らなかった。
しかし、たまたま気が向いて読んだこの本で、小説のめくるめくような面白さを思い出した。上質な愉悦の~~時間を過ごすことこそ人生の良質な使い方だということに気づくことができた。(齢をとったのかも知れないが。)
その後幸運にもG.マルケスやU.エーコをはじめ私を軽い酩酊感とともに素敵な異世界へと迷い込ませてくれる小説家たちに次々と出会うことができ、子供の頃感じていたような読書の楽しさが蘇ってきた。何度も読み返してみたい小説って、そうだ、あの~~頃もあったなあ。~
難著ですが、それだけに本質に訴えかけてきます
■この本をお勧めできるのは・・・
物語をお求めの方にはお勧めしません。
『小説には哲学的、観念的なものがないと物足りない』と感じる方にはお薦めです。

■この本の構成
この本は、『八岐の園』と題された前半と、『工匠集』と題された後半に分けられていますが、前半に非常に難解な幻想的、観念的、記号的作品がかたまっています。後半は比較的わかりやすい今日の短編小説のスタイルに沿った作品で構成されています。

■本質を映す鏡として
前半の難解な作品群が、小説家としてのボルヘスの真骨頂であると思います。代表作『バベルの図書館』、『バビロニアのくじ』、『円環の廃虚』など、現代社会のどこか空虚な感じと現実感の薄さを象徴しているような作品は、メディアを通して入ってくる直接的な言葉による情報とは違い、また別の角度から現代社会全体(の本質)を認識させてくれるように思います。

個人的には、具体性のある設定と比較的物語性があるという点で、いちばん最初に収録されている『トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス』という作品がもっとも好みでした。