後藤田正晴語り遺したいこと (岩波ブック...

- 岩波書店 価格 ¥ 504
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後藤田正晴語り遺したいこと (岩波ブックレット (No.667))


岩波書店

価格(new/used): 504 円 / 340 円 より
発売日: (2005-12) アマゾン売上ランキング: 46585 位
単行本 / 通常3~5週間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 4件

政と官・・・官僚出身だからか?
私は心の中で後藤田氏を尊敬していた。当時は正直言えなかった。言えば罵倒の嵐だったろう。
この方は戦前の教育を受けた方です。今の日本人がだめになったのは、戦後教育のせいだと思っています。(もちろん私も入っています)
戦争も経験し、マイナスからのスタートだった敗戦後。だから氏が憲法問題についても、貴重な一言を残してくれている。
ただ、やはり官出身のせいだろうか。どこかで「官」というものを信じておられるように思える。
私は官はあくまでも政の下にあるものであり、自らが勝手に考え、政を無視して物事を進める事が多々ある事の一点で氏とは意見が違う。
政治家は選挙で落とせる。しかし、官僚は?先般あった某領事館員の自死でも、きちんと政治家に報告していない。
都合の悪い事は総理大臣にでさえ隠す。これでは分担が違うと言われても、国民は納得できないだろう。
いずれにしても日本を支えてきた世代の一人がいなくなってしまった。
Statesman
 現役時代はどちらかというと“カミソリ”と呼ばれこわもてのイメージでしたが、晩年は素晴らしく老成した政治家の印象でした。実はこの人の言葉を活字で読むのは本書が初めてでしたが、加藤周一氏と対談しても全く論理的にそん色なく、また話し言葉を書き言葉に残しても読みづらさのない日本語になっていることに驚きました。これほどの知性を備えている政治家は今の日本にどれだけいるだろうかと思うと、暗澹たる思いに包まれます。しっかりした理念を持ちながら現実にしっかり立ち向かっていた方なのだと思いました。こういう方をStatesmanというのだと思います。
カミソリ後藤田の遺言
戦前戦中内務官僚で、戦後も警察官僚から国会議員と閣僚を歴任した。
戦前の従軍経験や自ら経験を踏まえて日本の現代政治を分析。カミソリと呼ばれた鋭利な知性は高潔な倫理観に支えられたバランス感覚にある。イデオロギーを超えて一目を置かれた後藤田さんの面目躍如たる一面を描き出した対談とインタビューを収める。ブックレットで薄いが内容は実に濃い。政治理論を正統に語りうる日本では稀有の人である。支持政党に関わらず投票権をもつ人は是非読んでおきたい。
バランス感覚に長けた保守政治家
 「剃刀(かみそり)」の異名を持つ政治家の晩年の対談記録集である。対談の一つの相手は加藤周一であり、大変興味深かった。憲法の解釈問題、評価と総括が改憲前に必要なことを強調し、憲法改正は必要となるとしながらも、現在の勢いや流れに任せた改正論議に疑問を示しているところは、昨今よく見られる攘夷的保守政治家にはないバランス感覚が見え、共感した。
 加藤氏との対談では、両者で様々な問題を提起し、意見の不一致は見られながらも、迎合ではない共通点の模索を図ろうと努力している。その姿勢は両者が大人の器量を持っていることを感じさせる。加藤氏は評論家であるが、対照的に引退したとは言え、後藤田氏は政治家である。政治家は政治の現場にいるので、政治の世界を冷静に見つめる作業は難しい。その中で総合的に政界を把握し、政策を実行する判断力に敬服する。
 自分の立脚点は明確にしつつ、他者つまり他党への配慮も見られる彼のような政治家が少なくなっていることは非常に残念である。それはやはり、戦場や敗戦後の困難な時代を体験してきたことに由来するのであろうか?