東京都の「教育改革」―石原都政でいま、何...

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東京都の「教育改革」―石原都政でいま、何が起こっているか (岩波ブックレット)


岩波書店

価格(new/used): 504 円 / 279 円 より
発売日: (2004-01) アマゾン売上ランキング: 450433 位
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東京都の教育改革は良くなるのか?
 石原都知事が行っている東京都の教育改革について知りたくてこの本を買ったが、石原都政の教育改革を単に批判し、問題点を指摘しているだけであり、教育の目指す姿、それを実現するための方策、どういうプロセスで進めていくか、など、筆者からの具体的な提示や提案がないのが残念である。

・都立高校改革:
 ポイントの一つは、教育現場における最高責任者、校長の学校運営に対する責任の明確化に伴う権限の強化である。校長に達成責任があるので権限の強化は当然と思うが、著者は校長の周辺にイエスマンだけ残ってしまうことを危惧している。しかし、そうなると、民間企業であれば普通は業績が低迷し結果が出なくなるはずである。
 ここでの最大の問題は公正な機関による評価が為されないことである。代わりに、誰でもわかる評価指標として有名大学への合格者数が目標になっているが、これだけでは、受験競争、詰め込み教育、の再発になり、どんな人材を育成するのかという、教育の理念がない。質的評価の目標値、公正に評価できる専門家からなる評価機関が必要である。

・国歌斉唱と国歌掲揚:
 これからのグローバル社会を考えると日本人としてのアイデンティティーをきちんと持つことが重要であり、正しい愛国心が必要である。しかし、石原都政では管理強化を行っている。正しい愛国心のためには、歴史教育の課題も含め、戦後、日本が清算してこなかった問題にきちんと取り組むことが必要であろう。
 
 石原改革の稚拙なところは、制度のデザインが不十分、方策が懐古主義的、であること。プロセス上の問題点は、方策立案に教育の専門家が活用されていない、改革のプロセスがオープンで無い、ということである。
教育改革に満点はないので、今後も継続的な改革がなされ、よりよい制度になっていくことを期待したい。

変動期の教育を考える
 1934年生まれの元NHK・朝日新聞記者の手になる60頁強の小著。石原都知事は選挙で圧勝した後、従来の都立4大学との協議内容を一方的に破棄し、トップダウン式の新大学構想を押し付けた。それは教育現場の意見を軽視し、新自由主義的に教育予算を削減し経済方面へ振り分け、反抗者には処罰を課し、またそれを未然に防ぐために道徳教育や管理を強化する、というやり方である。本書では、こうした石原「教育改革」(大学・高校)とそれに対する教育者・学生・市民の対抗を描いている。

 本書では石原改革を戦前との類似性という観点から批判している。それは確かに、石原の頭の中身という点では正しいのかもしれない。しかし、現代の教育問題は、まさしく戦後半世紀の大きな社会変動の結果生じたものであろう(イデオロギーのせいではなく!)。だとすれば、石原批判を前面に出すあまり、現代社会の分析を欠く本書の叙述は、今後の教育を考える上でやや物足りない。
 現在は大きな変動期であり、既存の権利の侵害と新たな可能性の萌芽が並存している。今、どのような制度を形成するかが、今後の我々の運命を大きく規定する。口先は勇ましいが、実際に達成したことは案外大したことはなさそうな都知事の政策は、我々を果たしてより良い未来へ導くものだろうか?今、その是非が問われている。