いやな時代こそ想像力を (岩波ブックレッ...

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いやな時代こそ想像力を (岩波ブックレット (No.504))


岩波書店

価格(new/used): -- 円 / 82 円 より
発売日: (2000-04) アマゾン売上ランキング: 839298 位
単行本 / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 3.0 / 総数: 1件

平板な対談
今を描く事で定評のある作家高村氏と過激な発言で知られる評論家佐高氏の対談なので、緊迫感溢れる対談を期待したが、常識的なものに終始している。

「今教育に欠けていること」、「横ならび社会という呪縛」、「宗教と現代社会」、「「ヤドカリ神話」を崩す」の4つのパートから成る。まずは、国というものをどうして行くべきか、ビジョンがない事を指摘する。その下で、自分の頭で判断する事をせず、情緒に流される危険性を述べる。現在の"ゆとり教育"も情緒によるもので、それによる学力低下を深刻に危惧する。高村氏の作品に良く出て来る諜報戦ではないが、まず疑ってみる事の重要性を唱える。「横ならび社会」では企業のトップの責任感の無さをまず指摘する。そして、日本独特の企業文化を批判するが、対談中で褒められている、ソニーとゴーン氏の日産が現在苦境に立っている事を想うと、皮肉を感じる。宗教問題では、高村氏がオウム真理教に対して、着地点だけが悪く、オウムの存在自体は否定できないと述べているのは、大いに疑問。私は存在そのものが悪だと思う。最後の「ヤドカリ(会社に巣食う意)」論は、冒頭の繰り返しで、若者を中心とする情緒的反応と戦略を持つ必要性を論じる。

全体として、佐高氏が高村氏の論調に合わせて話が進むので、穏やかな対談となった。内容は冒頭で述べた通り、常識の範囲を逸脱するものではないが(オウムを除く)、高村氏には今度"ヤドカリ"として生きられない人間を主人公にした小説を書いて欲しいと思った。