街並みの美学

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街並みの美学


岩波書店

価格(new/used): -- 円 / 799 円 より
発売日: (1979-01) アマゾン売上ランキング: 833661 位
単行本 / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 7件

疑問の点はあるが興味はつきない
日本の建物は靴をぬいで内部にはいるというところから,西欧の建築や街並みとのおおきなちがいが生じていると著者はいう.また,日本の建築が柱でささえられるのに対して西欧の建築が壁でささえられてきたことも対比している.靴をぬぐ習慣はいまもかわっていないが,日本の住宅もツーバイフォーのように壁でささえて厚い断熱材や二重窓などで外部から遮断するようになってきている.それをかんがえると,はたしてこのちがいが今後もうけつがれていくのかどうかは疑問におもえてくる.

著者はまた,ル・コルビュジエのような近代建築家が設計した都市は建築間の距離がとおいため徒歩には適さないことを指摘している.その例として,くるまをもたないひとがおおいインドのチャンディガールをあげている.著者はコルビュジエが現場にいくことをあまりこのまなかったことを指摘しているが,そのために人々の生活にあわない都市空間がつくられたのだろう.それでいて「今から数百年たった将来,もし今日の建築が存在するとしたら,おそらくコルビュジエの建築だけだろう」とも書いているが,現場をみずに設計した建築が将来は生活にあうようになるとはかんがえられないから,なぜコルビュジエの建築がのこるのか,わからない.

いろいろ疑問の点はあるが,著者の指摘に興味はつきない.
建築・都市計画に関する珠玉の名作!
都市や建築を歩いて見るとき,誰しもがなんとなく感じるであろう「良さ」「不思議さ」「暖かさ」「寂しさ」などの印象を「街並み」を鏡にして鋭く分析・考察した一冊。私のような都市計画,建築計画を専門分野とする学生にとっては,どの章をとっても目から鱗が落ちるほどの内容で,衝撃の一冊でした。鋭い観察眼,広い視点,比較分析の巧みさ,どれをとってもすばらしいの一言です。文章も明瞭簡潔で読みやすいため,まちあるきが好きなすべての人にオススメです。欧米の街並みが好きな人は,特に読みごたえがあるかと思います。
知識として
建築を始めてから間もない方、または学生の方、私も含めてですが非常に読みやすいものです。と同時に建築の知識として知っておくべき事柄が数多く載っています。
わかりやすいです。
空間や、内部と外部の関係など、知りたかったこと
がストレートに目次に載っていたので
購入しました。
内容もそれらについて、ばっちり語られています。
題名から考えられるような難しい文章ではなく、
空間についての、分かり易い授業を受けているようで
いちいち納得できます。
建築科の学生にとっても、とても参考になる本だと思います。
「愛国」の変奏
 本書が刊行された後、80年代になると、日本の好景気に乗じてポストモダンとしての数々の「東京論」が議論され、サブカルチャー的に現代東京の都市に関する積極的な再評価が行われてゆく。当時の乱痴気騒ぎを完全に失ってしまった現代の日本において、いまだにそのような「東京論」を絶対的に信奉するひとがいるとは思えないが、しかし、本書におけるような東京への決定的な「諦念の感」もまた、みなが諸手を挙げて賛成しうるとは思えない。

 一見、西欧へと完全に傾倒しているかのように見える本書の都市の評価軸は、都市の文脈を微細に分析しようと試みる今日の都市計画的視座において、少々ナイーブにすら思われるかもしれないが、実はそうではない。本書で述べられたいのは、むしろ西欧主義への頑なな拒絶である。コルビジェが「生まれつきの美的感覚」以外の「何者をも拒絶する強い生得観念」をもっているとして、好意的に評価しておきながら、しかし、結びにおいて「人間性を読み取ることが出来ない」として退けられているのは、そこにこれまで圧倒的勝利を収めていた西欧主義に対する決別が表明されているのだ。

 「太平洋戦争から復員して焼け野原に立った私達のような若い建築家の卵も、真剣に東京の復興について考えた」という印象的な一節は、戦争を知らないわれわれの心に深く突き刺さる。戦後、全てがひっくり返った世の中にあって、以前の愛国心が逆転して極端な悲観に包まれたことは、多くの知識人に認められる傾向である。しかし、その悲観とは、やはりなお、一つの「愛国」の変奏であるのだ。ならば、われわれ現代に生きる日本人が、日本の都市を眺めるとき、本書のような評価軸を心の片隅に置いておくことを忘れてしまってはならないはずである。

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