The Women, Gender an...

Lynn Duggan - David Phi... 価格
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The Women, Gender and Development Reader

Lynn Duggan
David Phillips Publishers

価格(new/used): -- 円 / -- 円 より
発売日: (1997-12-31) アマゾン売上ランキング: -- 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 2件

名論文が36編、丁寧に所収されています。
 本書は「開発と女性」に関する議論を収集した論文集である。約20年間の業績、全36編が所収され、著者数は40人以上になる。殆どが「論争」に重要な貢献を果たした論文である。論文は5つのテーマに分類整理され、各テーマ冒頭で編者らがテーマ背景、論争の変遷等を要領よく解説している。

 第1のテーマは「理論」である。ここには例えば、WIDとGADの異同を整理したKate Youngの“Gender and Development”等が収められている。
 第2は「世帯と家族」と題されている。WIDの成果を批判的に問うLourdes Beneria“Accounting for Women’s Work”等が収められている。
 第3のテーマは「グローバル経済の中の女性」と題され、労働形態の変化が女性に及ぼす影響を論考したLourdes Arizpeの“Women in the Informal Labor Sector”等が所収されている。
 第4は「社会変動の中の女性、国際的課題と女性」である。旧社会主義諸国の政治変動と女性の関係に関するMieke Meursの“Downwardly Mobile”等が所収されている。
 最後のテーマは「女性組織」である。韓国の女性運動を報告したSeung-Kyung Kimの“Women and the Labor Movement in South Korea”等がある。

 本書の優れた点は、第三世界に出自を持つ著者の業績が、数多く所収されていることである。また、所収論文が用いた全脚注と参考資料が、初出時の体裁を保って記載されている。各セクション冒頭の解説は、コンパクトだがfurther readingsとしても十分に使える。本書に物足りない点としては農村開発に関する論考が比較的少ない事。また東アジア、東欧、イスラムに関する論考は殆どない。

最初のレビュー
本書は、女性と開発との関係をめぐる議論を収集した、コンピレーション本である。本書の特徴は、なんといっても396ページという厚さである。「古い」ものは1971年から、「新しい」ものでは1994年まで、約20年間の業績全35編(プラス総論)が所収されている。著者総数は40人以上になる。各論文の初出は、学術雑誌掲載論文、単行本所収論文、ワーキング・ペーパーなど様々である。

 本書は5つのメイン・テーマを設定し、セクションごとに各論文を整理している。各セクションの冒頭で、編者がテーマの背景、論争の変遷、キーワード等を要領よく解説している。本書に所収された論文すべてに触れることはいうまでもなく、参考として目次をすべて書き出すことすらも、この論文数では困難である。よって以下では、セクション別にいくつかの論文をピック・アップすることで、どういった業績が所収されているかを紹介したい。
 第1のセクションは「理論」である。ここには例えば、WIDとGADの異同を手際よく整理したKate Youngの小論“Gender and Development”やEster Boserupの名著Women’s Role in Economic DevelopmentをGADの視座から再考察したGita Sen他の“Accumulation, Reproduction and Women’s Role in Economic Development”が収められている。また、日本では「エコフェミ論争」として一世を風靡し、いつの間にか消え去ってしまった感のある女性/環境/開発(WED)論争についての基本論文Vandana Shivaの“Women in nature”、Bina Agarwalの“The Gender and Environment Debate”が所収されている。私自身がこのセクションでもっとも興味深く読んだ論文は、WID、GADに登場する「女性」とは一体「誰」なのかと問い、先進国/白人/中・上流階級の三位一体がWID/GADの議論を無意識的に歪めていると冷静に指摘したChandra Talpade Mohantyの“Under Western Eyes: Feminist Scholarship and Colonial Discourses”であった。

 第2のセクションは「世帯と家族」と題されている。ここには「アンペイド・ワーク」を鍵概念にWIDの20年間の成果を批判的に問うLourdes Beneriaの“Accounting for Women’s Work”や、アフリカの食糧問題を題材に農村世帯における両性間の格差を報告したJeanne Koopman“The Hidden Roots of the African Food Problem”が収められている。このセクションで私の興味をもっとも惹きつけたのは、Female-headed Householdについて報告し、世帯形態の多様さを改めて教えてくれたSylvia Chantの“Single-parent Families”であった。

 第3のセクションは「グローバル経済の中の女性」である。ここには主として、労働形態の変化、多様化、アングラ化が女性に及ぼしている影響、貨幣経済の浸透がジェンダー関係に与える影響に関する考察が収められている。例えば、Lourdes Arizpeの“Women in the Informal Labor Sector”やLinda Limの“Capitalism, Imperialism and Patriarchy”といった論文である。

 第4のセクションは「社会変動の中の女性、国際的課題と女性」である。このセクションは、本書の中でもっとも広域のテーマをカバーしている。「経済情勢の変動」については例えば、経済危機が農村女性に与える影響について、ジャマイカとドミニカの調査からCarmen Deere他の“Impact of the Economic Crisis on Poor Women and their Households”が報告している。多くの発展途上国社会で、社会変動をひきおこすもっとも鋭利な刃物のひとつとなっている「エイズ」に関する論考も所収されている。例えば、エイズとセクシュアリティに関してClaudia Morenoの“AIDS”が所収されている。旧社会主義諸国を題材にした、「政治体制の変動」に関する論考もある。例えば、Mieke Meursの“Downwardly Mobile”などである。
 最後のセクションは「女性組織」である。農村女性の政治参加という切り口ではIda Susserの“Women as Political Actors in Rural Puerto Rico”がある。また、韓国における女性運動を報告した珍しい論文も所収されている。Seung-Kyung Kimの“Women and the Labor Movement in South Korea”である。そして、もちろん、あのSEWAについての論文も収められている。Kalima Roseの“SEWA”である。

本書の優れた点のひとつは、「第3世界」からの視点をふんだんに取り入れていることであろう。所収論文の著者の少なからずが、いわゆる「第3世界」に出自を持っている。また、編集がとても丁寧になされている。例えば、所収論文が用いたすべての脚注とreferencesが、初出時の体裁を保ったままで掲載されている。各セクションの冒頭に置かれている編者の解説は、コンパクトながらfurther readingsのリストとしても十分に使える。

では、本書に物足りない点はあるか。思いつくままにあげると、私の観点では最大の弱点は、農村開発についての論考が比較的少ない点である。また、「理論」セクションを除いた場合、章数は25章だが、その数からすると東アジアに関する論文が少ないのも気になる。同様の指摘は、東ヨーロッパに関する論文がひとつしかない事にも当てはまる。イスラムに関連した論考も同様に少ない。